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テニスの主な傷害

テニスの科学

2005/04/04
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腰椎分離症・分離すべり症

<病態>

「腰椎分離症」とは腰椎の上関節突起と下関節突起の間(関節突起間部)での連絡がなくなった状態である。分離を生じさせる外力としては腰部の過伸展により下関節突起端が下の椎骨の上関節突起と接触し押し上げられることによるものと考えられている。発生部位は第5腰椎が70〜80%を占める。

また、上位椎体が下位椎体に対して前方へずれてしまう事を「分離すべり症」という。分離すべり症は分離症が生じればいつでも発生しうるもので、分離症の10〜20%がすべり症へ移行している。

<症状>

分離自体は無症状のことが多いのだが、骨成長期に発見された症例の60%で腰痛の訴えがあったという報告もあり、活動性が高いスポーツや腰部に対する負担が大きい労働には重大な支障を及ぼす疾患といえる。

腰部や臀部痛を訴えるものでは、運動時に疼痛が増悪し、安静により軽減する傾向がある。疼痛の原因としては、分離部の疼痛・分離部による神経根の圧迫・分離椎の不安定性などがあげらえる。分離は骨折にもかかわらず疼痛が少ないが、これは関節突起間部自体には知覚神経終末の分布が乏しいためである。

分離すべり症では、歩行負荷により神経根が刺激され臀部痛下肢痛しびれ感などの症状が増悪し、歩行障害を訴える例が多く見られる。しかし、分離すべり症では椎体が前方にすべっても、椎弓・下関節突起・棘突起は後方に残るために馬尾神経は圧迫せず、間欠性跛行・膀胱直腸障害などは通常みられない。

<評価>

上関節突起と顆関節突起との間での骨折であるため、診断は単純X線・MRI・CTでなされる。すべり症の評価方法にはMeyerding法やBoxall法などさまざまなものがある。

<対処法>

対処法は発生した年齢により異なる。成長期での分離症では、早期治療により骨融合しうることから、早期発見が重要になる。そのため腰椎装具による保存的療法が中心となる。発見後2〜3年はすべり症が発生しやすいことから、経過観察や姿勢改善(腰椎前弯・骨盤前傾など)などが必要である。

成人期での分離症・すべり症では、急性期を過ぎたら運動療法(腰背筋と腹筋)や過度の腰椎前弯位の矯正などを行なう。また肥満の患者では体重をコントロールすることなどが重要である。

手術療法の適応となるものは、分離症では、保存療法が無効、あるいは再発を繰り返している、スポーツ選手など腰部への負担を軽減できない状況の場合である。分離すべり症では分離症と同様の適応のほか、すべりが25%を超えて進行する例、50%以上のすべりがある例、姿勢異常や歩行異常がある例などが適応となる。

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