Home >> テニス >> テニスの主な傷害 >> インピンジメント症候群

テニスの主な傷害

テニスの科学

2005/04/27
▲一番上に戻る

インピンジメント症候群

<病態>

インピンジメントとは衝突を意味し、テニスのサーブ、水泳、投球動作やバレーボールのスパイクなど腕を大きくスイングさせるスポーツに多発します。主病変は棘上筋腱上腕二頭筋長頭腱の「炎症・変性」です。腱とその周りの組織との間で何度もインピンジメント(衝突・摩擦)が繰り返されることにより腱が炎症・変性を起こしてしまう障害です。

A.棘上筋腱

棘上筋は肩関節を外転する時に働く筋肉です。この筋肉はとても狭いところを通っている為に、肩を頻繁に動かしているとこの筋肉は周りの骨(大結節、肩峰)や靱帯(烏口肩峰靱帯)に挟まれ摩擦を受けてしまいます。よってスイング動作を反復するスポーツでは、この棘上筋は摩擦を受け磨耗⇒肥厚⇒炎症⇒断裂などの病変へと進行していきます。

B.上腕二頭筋長頭腱

上腕二頭筋はいわゆる力こぶを作る筋肉で腕を曲げるときに働く筋肉です。この筋肉は起始が二つに分かれており長い方を長頭腱と呼びます。長頭は肩関節のあたりにまで伸びています。この上腕二頭筋長頭腱は周りに滑膜を被り上腕骨の表面の溝(結節間溝部)にある靱帯(横上腕靱帯)で出来たトンネルを通っています。肩を動かすときには長頭腱はこのトンネルの中を動き(実際には腱に対してトンネルが動く)、両者の間にある滑膜は摩擦を受けてしまいます。この繰り返しにより滑膜やまた長頭腱は炎症を起こし、さらに慢性化するとトンネルの中で腱が肥厚してしまいさらに摩擦を大きくし痛みや可動域制限を増強させてしまうのです。また、まれにトンネル(横上腕靱帯)が断裂し長頭腱が脱臼してしまうこともあります。

<評価・検査法>

A.棘上筋腱
 圧痛部位:肩関節前外側部(大結節部、肩峰前縁)
 運動痛:肩関節外転時
 検査法:@ペインフルアークテスト・Aインピンジメントテスト

B.上腕二頭筋長頭腱
 圧痛部位:肩関節前部(結節間溝部)
 運動痛:肩関節外転・外旋時
 検査法:@ヤーガソンテスト・Aスピードテスト・B上腕二頭筋長頭腱伸展テスト

<治療・予防>

@予防・軽度の場合

練習量や練習方法を変更+温熱療法・ストレッチ・マッサージ・アイシングなどを行います。※もし練習中に痛みが出てきたら練習は中止させます。

A重度の場合

この状態にまで悪化しているのであればテニスなどのスポーツは一時禁止、回復に伴い徐々に軽い運動から再開していこう。+@と同様の治療

1)練習前の治療
 温熱療法…局所に熱感・腫れがない場合は10〜15分ホットパック等で暖める。
 ストレッチ…肩周辺のストレッチ(屈伸・内外転・内外旋の各方向)
 マッサージ…肩周辺のマッサージ(特に圧痛部位の周囲)

2)練習後の治療
 アイシング…まずはしっかり冷やす。その後練習前に行なったストレッチ・マッサージを行なう。

▲一番上に戻る